コラム

「新たな情報通信技術戦略(案)」の公表

2010年6月14日

  内閣に設置されている高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)は5月11日に「新たな情報通信技術戦略(案)」を公表しました。

  ここでは3つの柱と目標を掲げており、それぞれ“重点施策”と“具体的取組”及び目標時期を明記しています。

  1. 行政サービスの24時間利用、インターネットでの行政情報の公開などによる国民が監視・コントロールできる公平で利便性の高い“国民本位の電子政府の実現”
  2. 情報通信技術を利用した在宅医療などの医療サービスの向上や教育環境の実現、ブロードバンドサービスの利用を通じての“地域の絆の再生”
  3. クラウドコンピューティングの導入や規制の撤廃等による情報通信技術関連の新市場の創出、各分野における情報通信技術の利活用、情報通信技術企業の国際競争力の向上などを含む“新市場の創出と国際展開”

  ところでITセキュリティセンターはITセキュリティ評価業務/暗号試験業務をしておりますので、日頃より日本の情報セキュリティに強い関心を持っています。そこで今回の公表のなかで情報セキュリティに関するところをピックアップしてみました。

  情報セキュリティに関して目を引く点としましては、一章を設けて情報セキュリティ環境に言及し、「情報セキュリティ先進国」を実現するため「国民を守る情報セキュリティ戦略」を推進するとしています。ただ現段階ではこの章に関しての“重点施策”と“具体的取組”は明記されていません。なお、内閣官房情報セキュリティセンターで定められた第1次情報セキュリティ基本計画では真に「情報セキュリティ先進国」になることを計画の基本目標としています。

4.安全・安心な情報セキュリティ環境の実現
2020 年までにすべての国民が安全・安心な情報セキュリティ環境の下、積極的に情報通信技術を利用できる世界最先端の「情報セキュリティ先進国」を実現するため、「国民を守る情報セキュリティ戦略」を推進する。

  もう一ヶ所、「2.地域の絆の再生」では防災情報の活用で情報セキュリティの配慮について触れています。

ⅱ)災害・犯罪・事故対策の推進
内閣府を中心に関係府省が連携して、(途中略)情報セキュリティに十分配慮しつつ、防災情報についても原則として2次利用可能な形でインターネット上で容易に入手し活用できるようにする。

  今般の「新たな情報通信技術戦略(案)」の公表に先立ち「新たな情報通信技術戦略(骨子案)」が作成され、骨子案に関するパブリックコメントが募集されましたが、その結果についても同時に公表されました。パブリックコメントは合計94件(一件で複数の意見含む)ありましたが、この中で「セキュリティ」という用語を使ってセキュリティの重要性についてコメントしたものが個人、団体併せて22件(約23%)ありましたので、セキュリティに関する関心度は高いと思われます。また東京電機大学の安田浩教授が本部員として意見を述べておられ、「4.安全・安心な情報セキュリティ環境の実現」で国民ID制度のセキュリティについて具体的な展開を要望しています。「新たな情報通信技術戦略(案)」本文でセキュリティに関する文言が織り込まれたのはこのような意見やコメントを反映したためと思われます。

  コメントの中では、“セキュリティに関する標準化や基準の制定”、“セキュリティに関する第三者監視機関”、“国によるデータの管理”などの公的な管理や規準の制定に期待する意見がセキュリティに関するコメント22件中10件を占めています。ITセキュリティセンターが行っているITセキュリティの評価業務/暗号の試験業務は中立公平な立場での第三者評価ですので、このような期待の一部を担っています。

  なお、パブリックコメントのような意見公募については行政手続法第6章意見公募手続等に定められ、第45条に公示の方法が規定されており、総務省から意見公募手続きはe-Gov(イーガブ)を用いるようとの具体的な運用が示されています。電子政府の総合窓口e-Govにはパブリックコメント手続きが記載されています。

≪参照≫

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