コラム
暗号の特許
平成22年4月付けで特許庁から「平成21年度特許出願技術動向調査報告書 暗号技術(要約版)」が公開されています。ここではこの報告書を引用して暗号の特許についてご紹介します。
この報告書は暗号の特許出願動向調査を用いて日本と海外の暗号の研究開発動向や市場環境を比較するものです。調査対象期間は2001年から2007年までで、内外の特許検索ツールを用いて日本、米国、欧州、中国、韓国、その他に分類して調査しています。暗号技術は表1のように区分していて1件の特許文献に対して複数の区分に属することを可としています。
表1 暗号技術の分類
| 大分類 | 中分類 |
|---|---|
| 暗号プリミティブ | 共通鍵暗号、公開鍵暗号、ハッシュ関数など |
| 暗号利用基礎プロトコル | 秘匿、署名、認証など |
| 暗号利用応用プロトコル | 個人情報管理、コンテンツ保護など |
| 実装技術 | 実装技術(ソフトウェア/ハードウェア実装)、対実装攻撃対策(耐タンパ技術、サイドチャネル攻撃対策など) |
| パーツ(構成要素) | 量子暗号、楕円曲線演算、ペアリング |
図1暗号特許の累計件数
(出所:特許庁「平成21年度特許出願技術動向調査報告書 暗号技術(要約版)」)
図1に出願先国別の累計(2001年から2007年まで)出願件数を出願人国籍別に表したグラフを示します。出願人国籍別では米国と日本は約35%でほぼ同じですが、近年は中国と韓国の伸びが大きいようです。次に自国への出願割合(図1の出願人国籍別の件数の和に対する対角上の件数)を見ると日本が最も多く約83%になっており、日本では自国で開発した技術を主に自国で特許出願している様子がわかります。また日本から他の地域に出願した件数に比べて他の地域から日本に出願された件数は少なく(図1の1行目と1列目の比較)出願収支は大幅なプラスになっています。逆に中国はマイナスになっており、各国が中国に対して特許を出願することにより将来的な市場および製造販売拠点として活動していることがわかります。
図2暗号実装技術の特許出願件数
(出所:特許庁「平成21年度特許出願技術動向調査報告書 暗号技術(要約版)」)
ITセキュリティセンターが実施している暗号試験は表1の特許出願の分類では実装技術に係るものが重要になります。図2の暗号実装技術の累計出願件数を見ると米国が約47%と大半を占め、日本は約17%に過ぎません。これは米国で暗号試験が盛んであることと密接に関係していると推測できます。
≪参考≫